コラム

民事裁判(訴訟)の進み方について

弁護士 山崎泰正

ここに書きましたのは、私が常日頃、相談者の皆様に口頭でご説明しているものです。

今回は、長野中央法律事務所のウェブサイト開設を機会に、文章にしてみました。

民事訴訟の進み方

民事訴訟(第1審)は、おおまかに図1のように進みます。

図1 民事訴訟の流れ

Ⅰ まずは原告・被告の主張する事実を付き合わせて、どの事実については言い分が一致して、どの事実について言い分が異なるかを整理する段階(ⅰ~ⅲ)

Ⅱ 原被告どちらの主張する事実が正しいのか、裁判官が真実を見極める段階(ⅳ)

Ⅲ 裁判官が認定した真実に基づき、裁判官が一定の法律効果を原被告に及ぼそうとする段階(ⅴ~ⅵ)

に分かれます。

以下、各段階に分けて説明します。

(ⅰ)訴訟提起

原告(裁判を起こす人)か、その代理人が、「訴状」を裁判所に提出します。

訴状には、

1) [請求の趣旨] 被告(訴訟の相手方)に何を請求するのか、

2) [請求の原因] 何故、原告が被告に対しそういう請求ができると思うのか、

その根拠となる事実の主張を書きます。

例えば、100万円を貸したけど、期限が過ぎても返してもらえないまま借主が亡くなったので、借主の子に返してもらいたいという事例を考えます。

その場合、[請求の趣旨]は、元本100万円と遅れた分の利息を払え、という内容になりますし、

[請求の原因]には、A)いついつにお金を返してもらうという約束をして100万円を渡した、B)約束の期限が過ぎた、C)被告は借主の子である、といったことを記すことになります。

(ⅱ)被告の答弁

裁判所に提出された訴状は、裁判所で内容をチェックした上で、被告に送られます。被告の所へは、合わせて、何月何日何時何分から第1回の裁判期日があるとの通知(期日通知)が為されます。

届いた訴状に対し、決められた第1回の期日までに答弁書(訴状への返事)を出さず、かつ期日に出頭しないと、被告は原告の言い分を全て認めたことになります。いわゆる「欠席判決」という奴です。一旦この判決が出て、これが確定してしまいますと、被告が後から納得できないといくら言っても、「後の祭り」となります。

ですので、もし、裁判所から訴状が届くようなことがあれば、すぐに当法律事務所にお電話下さい。第1回裁判に間に合うよう、相談を伺います。

訴状に記された原告の請求に納得がいかない場合、被告(代理人)は「答弁書」というものを裁判所に提出します。

答弁書には、

1) [請求の趣旨]に対する答弁

2) [請求の原因]に対する認否

3) [被告の主張]

を記すことになります。

 

1) 先ほどの100万円を返せという事例で言えば、

被告が返す義務はないと考えるのであれば、[請求の趣旨に対する答弁]には、そんな義務はない

という趣旨を記すこととなります。

 

2) 訴状の[請求の原因]に記されている内容については、3つの類型に分けて、整理して、答弁書に

記します。これを、[認否]といいます。

その3つの類型とは、「認める」「否認する」「不知」です。

(ア)「認める」・・・原告の主張する内容が真実であると認める

(イ)「否認する」・・原告のいう内容は真実ではないと主張する

この場合、真実が何か知っているのであれば、真実はこれこれこういう事実

だったと、合わせて述べることになります

(ウ)「不知」・・・・原告の主張する内容が真実か虚偽か分からないと述べる

先ほどの例で言えば、親は原告から借金などしていないとの確信があるのであれば、A)について否認する、と記すことになります。

親のことなので借金が事実かどうか分からないというのであれば、A)については不知、と記すことになります。

一方、B)、C)については、その日が過ぎていることや、被告が借主とされる人の子であることは客観的事実ですので、B)、C)は認める、と記すことになります。

 

3)「被告の主張」には、原告の訴状には現れない被告にとって有利な事実を記します。

先ほどの例では、D)原告が主張する返済の期限から10年以上経っているので貸金は時効で消滅しています、とか、E)借主とされる親が亡くなったときに被告は相続放棄しているので、被告に親の借金を払う必要はありません、といったものが考えられます。

(ⅲ)主張の整理

上に述べたように、原告の主張する事実について被告が認否する、被告が主張する新たな事実につき原告が認否する、裁判ではこれを繰り返して行きます。

このときに原被告がそれぞれの主張内容を書いて裁判所に提出する書類のことを、「準備書面」といいます。

この準備書面の交換を繰り返すことで、原告・被告がそれぞれどのような事実があったと主張するのか、主張はどの部分では一致していてどの部分では異なるのか、徐々に明らかになっていきます。

この主張の整理には6ヶ月~1年程度かかる例が多いように見受けられます。

(ⅳ)証拠調べ

さて、原告・被告がそれぞれどのような事実を主張しているか、分かりました。では、どちらが言っていることが正しいでしょうか。

どちらが言っていることが真実に合致するか裁判所が判断することを、「事実認定」といいます。

裁判官は、原被告双方から出された証拠に基づいて事実認定をします。

証拠は、大きく分けて「書証」と「人証」に分けられます。

「書証」とは、その名のとおり、証拠となる書類です。借用書とか、振込んだことを示す通帳とか、当時のメモとかです。この書証は、準備書面を出すときに合わせて提出します。

「人証」とは、証人(原被告本人以外に事実を知る第三者)や原被告本人の話です。その話を聞く機会が、「証人尋問」といいます。よくテレビドラマの法廷のシーンでありますが、法廷の真ん中にある台の所に座っている人に対し、その左右のテーブルの所にいる弁護士が質問する、というものです。

こういった書証・人証に基づき、裁判官は何が真実であるか、認定することとなります。

(ⅴ)和解の勧試

こうした裁判の途中、裁判所は原告・被告に対し、和解を勧めることがあります。

和解の勧めに対し、原被告の双方が納得し、条件が整えば、和解成立により訴訟は終わります。

どちらか一方でも納得しなければ、判決に至ります。

(ⅵ)判決

和解も物別れに終わると、裁判官は最終結論を出すことになります。それを「判決」といいます。

判決には、その結論(先ほどの例でいえば、「被告は原告に100万円を払え」とか「原告の請求を棄却する」とか)と、その結論へと至る裁判官の認定した事実が記されます。

この判決に不服であれば、原告・被告は2週間以内であれば控訴(上級の裁判所での審理を求めること)ができます。

原告・被告とも期間内に控訴をしなければ、判決は確定します。

 

以上が、民事訴訟の流れです。

 

■ おわりに

(相談者・依頼者のみなさまへのお願い)

(1) 裁判を起こしたいという方へ

上に述べたように、裁判を起こすには、何を請求するか、またいかなる事実に基づき請求権があると考えるか、を訴状に記す必要があります。

そこで、これを可能な範囲で整理して下さい。

無論、皆さんがこの整理が完全にできるのであれば、世の中に弁護士は要りません。私達は路頭に迷わざるをえません。

ですので、困っているんだけどどうすればいいか分からない、何かおかしいんだけど何がおかしいのか分からない、というのであれば、それはそれで一向に構いません。

そのもやもやを解きほぐすのも、私たち弁護士の仕事です。

何か証拠になりそうなもの、私どもに説明する上で役立ちそうな物があれば、一切合切お持ち下さい (契約が原因の揉め事であればその契約書とか、土地の紛争であればその土地の地図とか写真とか)。

証拠となりそうなものが分からなければ、身一つでお越しください。

なお、書証に新たな書込みをすることは、お避けください。何か書込みをしたいのであれば、コピーをとって、そちらに書き込んでください。

 

(2) 裁判を起こされたという方は

まず、裁判所から書類が届きましたら、すぐ当法律事務所へお電話ください。先ほど述べましたように、第1回期日が過ぎてしまってからでは巻き返しに大きな困難が伴います。

裁判所から届いた書類には新たな書込みをしないで、お持ち下さい。

ここから先は「できれば」「よろしければ」の話ですが、先ほど述べたように、訴状に記された[請求の原因]につき予め「認める」「否認する」「不知」を整理しておいて頂けると、ご相談がスムーズに進みます。

その際ですが、訴状をコピーした上で、そのコピーの[請求の原因]を蛍光ペンで色分けすると、分かりやすくなります。

1文1文につき,ここは合っている,ここは事実と違う,ここは知らない・分からない,と蛍光ペンで印を付けて頂きたいのです。

合っているところ・・・水色

違っているところ・・・桃色

分からないところ・・・黄色

といったように,全ての文章を塗ってください。

また,反論があるところは,そこに,「※1」「※2」というように印を付け,別紙にその反論をお書きください。

ただ、以上述べたお願いは、あくまで「できれば」ということです。

難しければ当方で対応いたしますので、まずは当法律事務所へご一報下さい。

よろしくお願い申し上げます。

(2011年6月20日 記)

 

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